2020年01月22日

第174号 その1


 
■歌会始の儀

 1月16日午前10時30分、宮中において、歌会始の儀を行われた。
 御製、御歌、皇族の詠進歌、召人、召人控及び選者の詠進歌並びに選歌は、次のとおりである。

   望

 御   製
学舎にひびかふ子らの弾む声さやけくあれとひたすら望む

 皇后宮御歌
災ひより立ち上らむとする人に若きらの力希望もたらす

皇   嗣 

祖父宮と望みし那須の高処より煌めく銀河に心踊らす

皇 嗣 妃 

高台に移れる校舎のきざはしに子らの咲かせし向日葵望む

眞子内親王 

望月に月の兎が棲まふかと思ふ心を持ちつぎゆかな

佳子内親王 

六年間歩きつづけし通学路三笠山より望みてたどる

正仁親王妃 華  子 

御即位の儀式に望みいにしへの装ひまとひ背なを正せり

寛仁親王妃 信  子 

雪襞をさやかに望む富士愛でて平和な御代のはじまりにあふ

彬子女王 

言の葉のたゆたふ湖の水際から漕ぎ出さむと望月の舟

憲仁親王妃 久  子 

サッカーに関はりたれば五輪への出場国をひた待ち望む

承子女王 

初めての展望台にはしやく子の父母とつなぎあふ小さな両手

召  人 栗木京子 

観覧車ゆふべの空をめぐりをりこれからかなふ望み灯して

召人控 加賀乙彦 

いねぎはに妻の遺影に目を合はせ天への旅の無事望む夜

選  者 篠弘 

書き上げし稿折りてはファックスす望外なことを近頃はじむ

選  者 三枝昂之 

丘陵に街に暮らしの歩をとめて人は仰げり望月立てり

選  者 永田和宏 

なだらかな比叡の肩を照らしつつ昇る畿望の、はた既望の月

選  者 今野寿美 

港から汽笛とどけば手にとれる望遠鏡なり蝶々夫人も

選  者 内藤明 

新しき靴履きて立つ街角にわが望郷の方位をさがす

  選歌(詠進者生年月日順)
三重県 森紀子 

茶刈機のエンジン音は響かひて彼方に望む春の伊勢湾

埼玉県 若山巌 

百アールの田圃アートの出来映えを眺望するに櫓を組みぬ

東京都 保立牧子 

創薬の望みを託す天空の「きぼう」の軌道に国境はなき

福岡県 石井信男 

息を止め望遠鏡で本物の土星の環を見た夏の校庭

福岡県 粟屋融子 

ランドセルは海渡りゆくアフガンの子らの希望を抱き留むるため

長崎県 柴山与志朗 

望の日は両義の父が家にゐて家族四人で夕餉を囲む

山形県 村上秀夫 

それぞれに月傾けて子どもらは墨くろぐろと「望」の字を書く

神奈川県 森教子 

今よりも人々の文字うつくしき平和を望む戦時下の日記

大阪府 土田真弓 

眺望はどうだ晩夏に鳴く蝉を咥へて高く高く飛ぶ鳥

新潟県 篠田朱里 

助手席で進路希望を話す時母は静かにラジオを消した





 
2020年1月22日 官報第174号 




 
posted by へむ at 13:13| 歌会始の儀 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする