2015年01月19日

第6453号 その3


 
■歌会始の儀

 1月14日午前10時30分、宮中において、歌会始の儀を行われた。
 御製、御歌、皇族の詠進歌、召人及び選者の詠進歌並びに選歌は、次のとおりである。

       本
  御   製
夕やみせまる田に入り稔りたる稲の根本に鎌をあてがふ

  皇后宮御歌
来し方に本と文の林ありてその下陰に幾度いこひし

東   宮 

山あひの紅葉深まる学び舎に本読み聞かす声はさやけし

東 宮 妃 

恩師より贈られし本ひもとけは若き学びの日々のなつかし

文仁親王 

年久しく風月の移ろひ見続けし一本の巨樹に思ひ巡らす

文仁親王妃 紀   子 

日系の若人からりぬ日本へのあつき思ひと移民の暮らしを

眞子内親王 

呼びかける声に気づかず一心に本を読みたる幼きわか日

佳子内親王 

弟に本読み聞かせゐたる夜は旅する母を思ひてねむる

正仁親王妃 華   子 

新しき本の頁をめくりつついづく迄読まむと時は過ぎゆく

寛仁親王妃 信   子 

松山に集ひし多くの若人の抱へる本は夢のあかしへ

彬子女王 

数多ある考古学の本に囲まれて積み重なりし年月思ふ

憲仁親王妃 久   子 

来客の知らせ来たりてゆつくりと読みさしの本に栞入れたり

承子女王 

霧立ちて紅葉の燃ゆる大池に鳥の音響く日本の秋は

召人 春日真木子 

緑陰に本を繰りつつわが呼吸と幸くあひあふ万の言の葉

選者 篠弘 

送られし古本市のカタログに一冊を選るが慣ひとなりぬ

選者 三枝昴之 

音読の声が生まれる一限目明日へ遠くへ本がいざなふ

選者 永田和宏 

本棚の一段分にをさまりし一生の量をかなしみにけり

選者 今野寿美 

秋の気の音なく満ちて指先に起こしては繰る本こそが本

選者 内藤明 

開かれて卓上にある一冊の本を囲みて夕餉のごとし


   選歌(詠進者生年月日順)

奈良県 伊藤嘉啓 

若き日に和本漁りぬ京の町目方で買ひし春の店先

新潟県 吉樂正雄 

おさがりの本を持つ子はもたぬ子に見せて戦後の授業はじまる

愛知県 森明美 

竹垣の露地に仕立てた数本の太藺ゆらして風わたりけり

長野県 木下瑜美子 

大雪に片寄せ片寄せ一本の道を開けたり世と繋がりぬ

千葉県 平井敬子 

「あったよねこの本うちに」流れた家の子が言ふ移動図書館

埼玉県 森中香織 

本棚に百科事典の揃ひし日に父の戦後は不意に終はりぬ

茨城県 五十嵐裕治 

二人して荷解き終へた新居には同じ二冊が並ぶ本棚

神奈川県 古川文良 

雉さんのあたりで遠のく母の声いつも渡れぬ鬼のすむ島

岡山県 中川真望子 

暑い夏坂を下ればあの本のあの子みたいに君はゐるのか

神奈川県 小林理央 

この本に全てがつまつてるわけぢやないだから私が続きを生きる





 
2015年1月19日 官報第6453号 




 
posted by へむ at 14:10| 歌会始の儀 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする