2012年01月16日

第5717号 その2


 

■歌会始の儀

 1月12日午前10時30分、宮中において、歌会始の儀を行われた。
 御製、御歌、皇族の詠進歌、召人及び選者の詠進歌並びに選歌は、次のとおりである。

   岸

  御   製
津波来し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる

  皇后宮御歌
帰り来るを立ちて待てるに季のなく岸とふ文字を歳時記に見ず

東   宮 

朝まだき十和田湖岸におりたてばはるかに黒き八甲田見ゆ

東 宮 妃 

春あさき林あゆめば仁田沼の岸辺に群れてみづばせう咲く

文仁親王 

湧水の戻りし川の岸辺より魚影を見つつ人ら嬉しむ

文仁親王妃 紀  子 

難き日々の思ひわかちて沿岸と内陸の人らたづさへ生くる

眞子内親王 

人々の想ひ託されし遷宮の大木岸にたどり着きけり

正仁親王 

海草は岸によせくる波にゆらぎ浮きては沈み流れ行くなり

正仁親王妃 華  子 

被災地の復興ねがひ東北の岸べに花火はじまらむとす

崇仁親王妃 百 合 子 

今宵揚ぐる花火の仕度始まりぬ九頭竜川の岸の川原に

彬子女王 

大文字の頂に立ちて見る炎みたま送りの岸となりしか

憲仁親王妃 久  子 

福寿草ゆきまだ残る斐伊川の岸辺に咲けり陽だまりの中

承子女王 

紅葉の美しき赤坂の菖蒲池岸辺に輝く翡翠の青

典子女王 

対岸の山肌覆ふもみぢ葉は水面の色をあかく染めたり

絢子女王 

海原をすすむ和船の遠き影岸に座りてしばし眺むる

召人 堤 清二 

雲浮ぶ波音高き岸の辺に菫咲くなり春を迎へて

選者 岡井 隆 

いのちありてふたたびドナウ源流の岸べをゆきし旅をしぞ思ふ

選者 篠  弘 

かはらざりし北上川に花びらが岸のほとりの早瀬を走る

選者 三枝 昂之 

なほ朽ちぬこころざしありふるさとの岸辺に灯る甲州百目

選者 永田 和宏 

舫ひ解けて静かに岸を離れゆく舟あり人に恋ひつつあれば

選者 内藤 明 

源は雲立てる山ゆつくりと流るる川の岸辺をあゆむ

選歌(詠進者生年月日順)


茨城県 寺門 龍一 

いわきより北へと向かふ日を待ちて常磐線は海岸を行く

埼玉県 佐藤 洋子 

対岸の街の明かりのほの見えて隠岐の入り江の靜かなる夜

奈良県 山崎孝次郎 

相馬市の海岸近くの避難所に吾子ゐるを知り三日眠れず

長野県 小林 勝人 

ほのぼのと河岸段丘に朝日さしメガソーラーはかがやき始む

大阪府 山地あい子 

しほとんぼ追うて岸辺をかける子らつういつういと空はさびしい

千葉県 宮野 俊洋 

春浅き海岸に咲く菜の花を介護のバスが一回りせり

カンボジア国プノンペン郡 渡邉 榮樹 

子らは浴み岸辺に牛が草を食むこぞの我らが地雷処理跡

京都府 大石 悦子 

とび石の亀の甲羅を踏みわたる対岸にながく夫を待たせて

福島県 澤邊裕栄子 

巻き戻すことのできない現実がずつしり重き海岸通り

大阪府 伊藤 可奈 

岸辺から手を振る君に振りかへすけれど夕日で君がみえない





 
2012年1月16日 官報第5717号 




 
posted by へむ at 18:41| 講書始の儀 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする